Vol.01
自己解決を加速させるカスタマーサポートとは?
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Chapter
4

カスタマーサポート理想編

41

vol.18 VoC活用を改めて考える

#VoC
#サイレントカスタマー
#CX

VoC活用は、製品やサービスの改善に有効です。しかし、VoCを集めるものの、効果的に活用できていないケースが非常に多くあります。VoCを活用するコツは、「仮説を立ててからVoCを分析する」ことです。また、製品やサービスの改善には、VoCだけでなく「声をあげていないお客様が抱える課題」を把握することも重要です。

製品やサービスの改善のためにVoCを集めるものの、何となく分類し、気になる意見を取り入れて終わりになっていませんか?

VoCは実際に製品やサービスを使ったお客様の意見なので、その製品やサービスをよりよくするためのヒントが含まれています。

しかし、VoCを集めるものの、そのVoCを製品やサービスの改善のために有効活用できていないケースが多いです。

そこで、本記事ではVoCを効果的に活用できない主な理由や、VoC活用のコツをまとめました。また、「そもそも、製品やサービスの改善のために参考にするのはVoCだけでいいのか?」といったことも解説しています。

VoCをきちんと活用できていますか?

VoCを効果的に活用できている企業はそれほど多くありません。

「VoCが大切」「VoCが役に立つ」という意見を聞き、手探り状態でVoC活用を試みているものの、有効活用できていない企業が多い印象です。

当たり前ですが、VoCは集めるだけでは意味がありません。大切なのは「集めてからどのようにアクションへつなげるか」です。

では、なぜVoCを効果的に活用できないのでしょうか?

なぜVoCを活用できないのか?

VoCを活用できない主な理由は「集めた後の定量化が難しいこと」です。

そもそも、集めたVoCを商品やサービスの改善へ活かすためには、「どの意見を取り入れるか」を判断する必要があります。

ビジネスへの影響を考えると、影響範囲が広い(対象人数が多い)部分を優先する方がよさそうですよね。そこで、多数派の意見を取り入れるために定量化(数値化)が必要になるのですが、ここでつまずくケースが多いです。

VoCの定量化は、テキストマイニングツールを使って特定のKWのボリュームを測定することで実施できます。

しかし、日本語は難しいためテキストマイニングツールを使って正確に抽出するのは困難です。例えば、皮肉を込めて酷評している意見を、褒めている意見だと判断してしまいます。

テキストマイニングツールを使って定量化できたと思っていても、実際は正確に定量化できておらず、予算をかけて実施した施策が裏目に出てしまう可能性もあります。

そのため、せっかくVoCを集めても、「不具合などのクリティカルな声」以外は取り入れるべきか判断できず、結局VoCをあまり活用できないケースが多くなってしまうのです。

では、どのようにすればVoCを効果的に活用できるのか?

そのコツは「仮説を立てること」です。

VoC活用のコツは仮説を立てること

VoCを効果的に活用するためのコツは「仮説を立てること」です。

「こういう声があるのでは?」という仮説を立て、その仮説の正誤を確かめるためにVoCを活用します

【例】
ECサイトにおいて、「扱う商品の種類が多くなったこともあり、カテゴリー分けがわかりにくいのでは?」という仮説を立て、カテゴリーについてのVoCを集める。

  • 仮説が正しそう→仮説を解消できる施策を考える
  • 仮説が間違ってそう→新たな仮説を考え、再びVoCで検証する

漠然と「何かいい意見はないかな?」とVoCを眺めていると、「特に気になる意見はなかった」で終わってしまうことも考えられます。

一方で、仮説を検証するためにVoCを確かめることで、「仮説が正しいなら施策を考える、間違っているなら別の仮説を考える」という次のアクションにつなげられます

いきなり仮説を考えるのが難しい場合は、多く広くVoCを集め、「ポジティブな意見とネガティブな意見のどちらが多いか?」「何が支持されている・されていないのか?」といった傾向を探ってみましょう。

仮説が立てられれば、ユーザーテストやユーザーインタビューを実施し、VoCをより深めることもできます。

このように、VoCを集めて終わりにならないためには、「●●という仮説を確かめるため」「仮説を立てるための傾向を掴むため」という具体的な目的を持ってVoCを収集・分析することが重要です。

【参考:VoCはツールに頼るばかりでもダメ】
VoC活用を進める際に「どのツールを使うか?」という話になることも多いです。
もちろん、VoCを活用するにはツールが欠かせません。例えば、SNSの投稿から特定のKWを検索して引っ張り出し、解析してテキストマイニングするツールなどです。
ただし、ツールがVoCを収集・分類したからといって、何かが解決するわけではありません。
大切なのは「どうアクションにつなげるか」です。VoCを自社製品やサービスの改善に活かすために、仮説を立ててVoCを分析しましょう。

VoCがお客様の声のすべてではない

そもそも、VoCだけではお客様の声を把握しきれません。

VoCが拾えるのは「ちゃんと意見を言える人」の声だけです。「何も言わずに我慢して使い続けてくれる」「何も言わずに別の製品やサービスに乗り換える」という人の声は、VoCに含まれません

実は、実際に声を上げる人は少数で、商品やサービスに不満を持った多くの人は、何も言わずに商品やサービスの利用をやめる傾向にあります。つまり、「VoCは一部のお客様の声でしかない」ということです。

※顧客ロイヤルティ協会・佐藤知恭 「Goodmanの法則ーグッドマンの法則ー」 から抜粋 http://www.customer-loyalty.jp/goodman.html

もちろん、一部のお客様の声だからといって、VoCが役に立たないわけではありません。

ここで言いたいのは、VoCに加え、「声を上げていない人が何に困っているか」も把握する必要があるということです。

多数派である「我慢して使い続けてくれる人」「何も言わずに使うのをやめる人」が直面した課題を改善できれば、自社の商品やサービスの利用者が増え、売上や利益につながるはずですよね。

では、「声をあげない人たちの課題」はどのように把握すればいいのでしょうか?

その方法のひとつが「Web上のお客様の行動を追って課題を見つける」ことです。

例えば、サポートサイトに訪れたお客様が問い合わせせずに解約していたら、「何も言わずに使うのをやめる人」であることがわかりますよね?

このようなお客様をトラッキングした上で、お客様の行動をリアルタイムで解析できれば、「何に困っているのか」の当たりがつけられます。そして、困っていることがわかれば、施策を考えるという次のアクションにつなげられます。

なお、当社が提供する「KARTE RightSupport」なら、ユーザートラッキングを手軽に実装できますので、ご興味がある方は以下のページをご覧ください。

>>https://rightsupport.karte.io/

おわりに

VoCを効果的に活用するコツは、仮説を立てておくことです。また、VoCだけでなく、声をあげていない人の課題も忘れてはいけません。お客様の課題を見つけるためには、Web上のお客様の行動を追うことも重要です。

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カスタマーサポート理想編

42

vol.19 コールセンター内製化の理想と現実

#カスタマーサポート

コールセンターを完全に外注していると、事業への利益貢献を感じられにくく、コスト削減の対象になりやすいという傾向があります。これは、コールセンターとのコミュニケーションが希薄になり、オペレーターが持つ顧客の声を製品の改善や開発に活かせないためです。とはいえ、完全に内製するのは難しいもの。そこでおすすめなのが、徐々に内製していくことです。まずは1人だけでも駐在させ、現場の意見を吸い上げやすくしていきます。

コスト削減の対象になりやすいコールセンター。ただし、安易にコストを削減すると、お客様から寄せられる問い合わせに対応しきれなくなり、顧客満足度の低下を招きかねません。

では、なぜコスト削減の対象になりやすいのでしょうか?

その理由のひとつとして、コールセンターの「完全外注」が挙げられます。

今回は、

  • コールセンターを完全に外注すると、なぜコスト削減の対象になりやすいのか?
  • 顧客満足度が低下するようなコスト削減を避けるためにはどうしたらいいか?

について、詳しく解説します。

コールセンターを外注すると、なぜコスト削減の対象になりやすいのか?

私の経験では、完全に外注化されたコールセンターは、コスト削減の対象になりやすいです。その主な理由として、経営側からすると「外注にかかっているコストの割に、事業への利益貢献が感じられないこと」が挙げられます。

コストの観点では、問い合わせの数を減らして外注費を圧縮することも選択肢のひとつです。ただし、外注先であるコールセンターからすると、問い合わせを受けることが仕事ですよね。そのため、企業がいくら問い合わせの削減を推進しても、同じように問い合わせの削減に取り組んでもらえるとは限らないため、問い合わせの数を減らして外注費を削減するのは簡単ではありません。

事業への利益貢献という点で考えると、もちろん、コールセンターはお客様の疑問を解消しているため、利益に貢献していることは明らかであるはずです。それなのに、外注したコールセンターは、「事業への利益貢献」が感じられにくくなってしまいます。

それはなぜか?

要因のひとつに「コミュニケーションが希薄になっていること」があります。

カスタマーサポートは、利益貢献が見えにくい

そもそも、カスタマーサポートは「顧客満足度への影響規模」や「顧客満足度と売上の相関関係」がわかりにくい部署だといえます。例えば、電話で寄せられた疑問を解消しても、顧客満足度が上がっているかは見えにくいですよね。さらに、顧客満足度が上がったとしても、売上が上がっているかはわからないことが多いです。

そのため、お客様から寄せられた問い合わせに対応しているだけでは、「接客して商品を購入してもらう」というような「わかりやすい事業への利益貢献」ができません。

そこで、カスタマーサポートが事業貢献する方法のひとつとして、「問い合わせで寄せられたお客様の声を製品の改善や開発に活用する」というものがあります。

しかし、コールセンターを外注していると、内製に比べてコミュニケーションが希薄になってしまうものです。

結果、どのような弊害が生じるのでしょうか?

コールセンターを完全外注することで生じる弊害

コールセンターを完全外注し、コミュニケーションが希薄になると、「オペレーターの意見を吸い上げにくく、お客様の声を開発や改善に活かせない」という状態になりやすいです。

オペレーターの意見を吸い上げにくくなる

そもそもオペレーターは、お客様の声を直接聞いているため、お客様がつまずくポイントや悩みを把握しています。また、製品やサービスに詳しい人も多いため(実際に自社の社員より詳しい人も多い)、「ここを直せばもっと良くなるのに」という的を得た意見を持つ人もいます。

それにもかかわらず、コールセンターとのコミュニケーションが希薄になると、オペレーターが持っている貴重な意見が外注先で止まってしまいます

「コールセンターへのヒアリング」を実施していればオペレーターの声を吸い上げられるかもしれません。

しかし、コールセンターとの関係性が良くないと、コールセンターに意見を聞きに行っても警戒されてしまい、良い意見があまり集まりません。

すると、「オペレーターの意見がきっかけで売上を伸ばせた」「お客様が喜ぶ施策につながった」というわかりやすい結果が出ず、経営層から「コールセンターは事業にあまり貢献していない」と判断されてしまうわけです。

実際はコールセンターが顧客満足度や売上の向上に貢献していても、「事業にあまり貢献してなさそう」という印象が先行し、コスト削減の対象になることもあります。

そこで、コミュニケーションを円滑に進めるためにおすすめなのが「コールセンターの内製化」です。

コールセンターはどこまで内製すればいいか?

理想はすべて内製することです。とはいえ、オペレーター一人一人を雇用し、教育するのは容易ではありません。

そこで、次に目指したいのが「SV、マネージャー、センター長の内製による半内製化」です。

基本的に現場はオペレーターとSVで回します。マネージャーやセンター長は、その「オペレーターやSV」を管理したり、事業計画や組織全体を検討したりするような仕事が多く、現場のことをよく知らないケースが意外と多いです。

そのため、マネージャーとセンター長だけを内製すると、現場の大変さを知らずに指示を出し、外注先との壁ができてしまう恐れもあります。

これでは、コールセンターを半内製化したにもかかわらず、オペレーターやSVとの間に壁ができてしまい、オペレーターの意見を吸い上げられません。

オペレーターとコミュニケーションを円滑にするためには、SVも内製するのがおすすめです。

とはいえ、現実問題、半内製化も簡単ではありません。

そこで、比較的すぐに実践できる方法として、まずは1人だけでも現場に駐在する体制への変更を推奨します。1人でも現場にいれば、現場の大変さがわかってきますし、現場に寄り添ったコミュニケーションが取れるようになるためです。

コールセンターに行くことをキャリアアップの過程として定めることで、社員がセンターへの駐在を前向きに捉えてもらえます。例えば「役員候補はお客様に対応している最前線を知るために、昇進前にセンターへ駐在する」という具合です。

ここまで読んで「そもそも、オペレーターの意見はそんなに重要なのだろうか?」という疑問を持った方もいるのではないでしょうか?

そこで、オペレーターとのコミュニケーションを取ることで事業に貢献した事例を紹介します。

カスタマーサポート内製の成功事例

今回紹介するのは、とある老舗製造業の会社が、ECでの注文を増加させた事例です。

きっかけは、お客様から「このFAXでの注文はどのよう進めればいいの?」という、操作の相談が寄せられたことでした。

その相談に対してオペレーターが案内したのは「もし可能であればECでの注文が便利ですよ」ということ。すると、お客様から「ちょうど省庁からFAXはやめろと言われていた。ペーパーレスのための運動命令なんだよね。」という情報が得られたのです。

この情報を営業やカスタマーサクセスに共有することで、ECの案内をするときに「省庁の案内についてはこれでクリアできますよ」と伝えられるようになり、ECを利用するお客様の増加に貢献しました。

この事例のように、お客様と話したからこそわかる情報は意外に多いものです。お客様の生の声をコールセンターから他部署へ共有することで、コールセンターが事業に大きく貢献できます。

おわりに

コールセンターを内製することで、オペレーターがお客様から得た情報を吸い上げ、事業貢献しやすくなります。次回は「カスタマーセンターの理想」について、事例を交えて紹介する予定です。

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vol.20 具体例で見る理想のCS像
#カスタマーサポート
#顧客満足度
Chapter
4

カスタマーサポート理想編

43

vol.20 具体例で見る理想のCS像

#カスタマーサポート
#顧客満足度

CSの理想は「事業に貢献すること」です。サポートによってお客様が長くサービスや製品を使ってくれれば、事業に貢献しているといえます。そこで必要なのが、お客様に合わせた問い合わせチャネルと、お客様一人一人に合わせた提案です。実体験をもとに、事業に貢献しているCSの例を紹介します。

カスタマーサポート(以下:CS)の理想は、事業の利益に貢献していることです。

この点、お客様に「サポートがあったからこそ、製品やサービスを使い続けている」と思ってもらえれば、事業に貢献できているといえそうですよね。

では、事業に貢献しているCSは、具体的にどのようなサポートを実施しているのでしょうか?

今回は、事業に貢献しているCSの事例を実体験をもとにご紹介します。

事例で見る「事業に貢献しているカスタマーサポート」

事業に貢献しているCSの例として、日本の電気通信事業者である「IIJ」を紹介します。

私がIIJのサポートを受けた背景は、スマホの通信量が足りなくなったこと。

スマホの通信データを親子3人でシェアしており、子どもの成長とともに通信量が足りなくなってきていた。そこでプランを見直すか他社へ乗り換えるかで悩んでいた。契約したのは何年も前なので、そもそもどんなプランで契約していたかも覚えていなかった。

そこでCSに問い合わせた結果、素晴らしい対応を受けました。

解約も考えていたのに、プランを変更して使い続けるだけでなく、小学生になる息子の契約を追加したり、両親にもすすめたりと、いわゆるロイヤルカスタマーになっています

では、IIJのサポートの何がよかったのか?

それは、

  • 自分に合った問い合わせチャネルが選べること
  • オペレーターの対応と提案

の2つです。

1.自分に合った問い合わせチャネルが選べる

IIJのサポートの良かったところとして、まず「問い合わせのチャネルが豊富に揃っていること」が挙げられます。

IIJでは、以下の問い合わせチャネルが用意されていました。

  • 電話
  • 問い合わせフォーム
  • チャット
  • インターネット通話

電話や問い合わせフォーム、チャットはよくある問い合わせチャネルです。しかし、インターネット通話を用意している企業はそれほど多くはありません。

個人的に、普段からパソコンを使ってWeb会議を行う機会が多いこともあり、電話よりもパソコンでの通話の方が慣れていました。

また、パソコンで問い合わせ先を調べていたため、電話だと電話番号を入力しなければいけないのが面倒です。とはいえ、チャットはテキストを何度も入力してやり取りしなければならず手間に感じますし、問い合わせフォームだとすぐに返事がもらえません。

もちろん、すべての人がインターネット通話を好んで利用するとは思いませんが、個人的にはインターネット通話で問い合わせられることが非常に便利でした。

2.オペレーターの提案が素晴らしかった

実際にインターネット通話を使って問い合わせてみると、オペレーターの提案も非常に素晴らしいものでした。

「通信量が足りない」という悩みを相談すると、まず「現状のプランがどのような契約なのか」をわかりやすく説明してくれたうえで、通信量を親子でシェアする場合の最適なプランを提案してくれました。

このプランに変えると使える通信量が増えるだけでなく、なんと月々の支払いが安くなるのです。

こちらの要望である「通信量を増やしたい」だけでなく、プラスαである料金が安くなるプランを提案してくれました。追加で料金を支払って通信量を増やす方法もあったはずなのにです。

CSにとって「お客様の要望に合わせて提案すること」は当たり前だと思う人もいるでしょう。しかし、意外とできていないケースは多いです。

「お客様の一人一人に合わせて提案すること」は、自社の製品やサービスを熟知していないとできません。誰かに引き継いだり、確認したりしないと答えられない場合もあります。

ここまで親切にしてもらえると、まず解約しようとは思いません。また、「他社の方が安そうだしサービスが良さそう」と思ったとしても、IIJを使い続けるでしょう。

満足しているからより安くしようと思わないですし、今後プランを変えようと思ったときも「自分に合った提案をしてくれる」という安心感・信頼感があるためです。

さらに、「IIJなら自分に合ったプランを教えてくれる」と、家族や友人にもすすめたくなります。

実際に、両親へIIJをすすめましたし、小学生の息子のスマホデビューのために契約を追加しました。この体験がなかったら他社に申し込んでいたかもしれません。

IIJからすると、月々の支払いが安くなるため一時的には売上が下がります。とはいえ、 サポートがきっかけとなり長く使い続けてもらえれば、他社に乗り換えられる場合に比べてLTVがアップする、つまりCSが事業に貢献できているといえそうです。さらに他の人にすすめてもらえれば、利益にまっすぐ貢献できますよね。

CSが「カスタマーサクセス」や「カスタマーセールス」のような働きをすることで、事業への貢献度が高くなるというわけです。

では、CSが事業に貢献するためには、何から取り組めばいいのでしょうか?

CSが事業に貢献するために取り組みたい2つのこと

CSが「事業貢献するために取り組みたいこと」は2つあります。

  • 問い合わせチャネルの用意
  • オペレーターの育成や補助ツールの導入

問い合わせチャネルの用意

前提として、「問い合わせ=顧客に負担がかかる行為」であることを念頭においておきましょう。そのうえで、「この負担をどうやって軽くできるか?」を考えることが、事業へ貢献するための第一歩です。

では、問い合わせるお客様の負担を軽くするにはどうすればいいか?

企業側ができることは「選択肢を用意してお客様に選んでもらうこと」です。

お客様がどの方法で疑問を解決するかはお客様次第。FAQを見てから問い合わせようと思う人がいれば、いきなり電話で問い合わせたい人もいるはずですよね。また、電話が楽だと感じる人もいれば、チャットの方が楽だと感じる人もいます。

そこで、お客様が好みの方法で問い合わせられるよう、IIJのように問い合わせチャネルを充実させることが重要です。

とはいえ、いきなり問い合わせチャネルを増やすのは大変です。場合によっては対応しきれなくなり、問い合わせてきたお客様を待たせてしまう恐れがあります。

「自社のお客様にとってどの方法が手軽か?」を考えながら、優先順位をつけて問い合わせチャネルを増やしていきましょう

例えば、高齢のお客様が多いなら、メールやチャットのようにテキストを打ち込む方法より、電話の方が負担が少なそうですよね。一方で、20〜40代のお客様が多いなら、電話よりもチャットやインターネット通話の方が気軽に問い合わせられそうです。

このように、自社のお客様に合わせて、負担が少なそうな問い合わせチャネルを用意しておきましょう。

オペレーターの教育や補助ツールの導入

CSが事業へ貢献するためには、オペレーター一人一人のスキルアップが欠かせません。お客様の要望を汲み取り、スムーズかつ適切な提案ができれば、お客様が自社のサービスや製品を使い続けてくれるきっかけとなります。

しかし、人材の確保や教育にはコストも時間もかかるため、簡単ではありません。お客様に合わせた提案をするには、製品やサービスを熟知し、かつ問い合わせに対応する経験を積む必要があります。

そこで、すぐにできる対策として、「オペレーターを補助できる何かしらの補助ツールを活用する」のがおすすめです。

例えば、顧客情報を管理できる「CRMツール」です。すでに活用している企業も多いのではないでしょうか? 既存のお客様や会員から電話がかかってきた場合、受信とともに顧客情報がパソコンに表示されるため、現在の契約状況や過去の問い合わせ履歴を把握した状態で、電話に対応できます。

参考:https://rightconnect.karte.io/

また、「チャットの自動問診機能」も有人でのチャット問い合わせを用意している企業におすすめです。

お客様がチャットで問い合わせた際に、まず問い合わせ内容などを選択肢で提示し、お客様にその選択肢を選んでもらいます。すると、問い合わせ内容が明確になった状態から、オペレーターによるチャットでのやり取りがスタートできます。

参考:https://rightconnect.karte.io/

お客様は選択肢から自分の悩みを選ぶだけなので、自分で問い合わせ内容を説明する必要がありません。オペレーターは、事前にお客様の悩みを把握できるため、解決策を整理してから対応を始められるため、スムーズに問い合わせに対応できます。

お客様の事前問診内容によって、誰につなぐか決められれば、取り次ぎや確認の手間を省けます。

チャットの自動問診機能は「KARTE RightSupport」で実装できるので、気になる方はぜひチェックしてみてください。

>>https://rightsupport.karte.io/

おわりに

CSの理想は、お客様一人一人に合わせて提案し、お客様の満足度を向上させることです。とはいえ、オペレーターの教育には時間がかかるため、すぐに達成できるわけではありません。まずは問い合わせチャネルの追加やオペレーターの補助ツールを使い、少しずつCSの事業貢献度を上げていきましょう。

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vol.21 サイレントカスタマーへの向き合い方

#サイレントカスタマー
#分析

お客様の中には、問い合わせなどをせずに離れてしまう人(サイレントカスタマー)が多くいます。企業は、大勢のお客様を原因もわからずに失っているかもしれません。サイレントカスタマー化を防ぐためには、まず問い合わせ履歴やSNSを分析して原因の目星をつけることが大切です。その上で、お客様の困りごとのきっかけを1つずつ改善します。

企業への問い合わせなどのアクションを起こさず離れてしまうお客様のことを「サイレントカスタマー」と呼びます。

企業側は何が原因かもわからずお客様が離れているため、対策のしようがないと思うかもしれません。

しかし、お客様がサイレントカスタマーになることを防ぐ方法はあります。

この記事では、サイレントカスタマーへの向き合い方として原因の探し方や対策のポイントをまとめたので、ぜひご参照ください。

サイレントカスタマーとは?

サイレントカスタマーとは、 企業や製品に対して疑問や不満を持っているにもかかわらず、企業にその声を届けず離れてしまったお客様のことです。

カスタマーサポート(CS)の領域において、サイレントカスタマーは主に3つのケースに分けられます。

  1. 困りごとを持った状態で何もせずに離れてしまう
  2. サポートサイトなどを見たが解決できずに離れてしまう
  3. 一度問い合わせたが解決されず、その後アクションを起こさずに離れてしまう

どのケースも、企業がサイレントカスタマーを特定する方法がなく「何が原因かもわからず、お客様が離れている」状態です。ただ離れてしまうだけではなく、SNSや口コミサイトでネガティブな意見を投稿され、自社のイメージ低下を招くことも考えられます。

サイレントカスタマーは意外と多い

どのくらいのお客様がサイレントカスタマーとして自社から離れてしまうのか?

あるデータでは顧客の70%がサイレントカスタマーになるといわれています。2020年2月に日経リサーチが実施した「生活者痛点 基本調査」によると、商品やサービスの利用中に何かしらの困りごとが発生した際、企業に問い合わせる割合は27.5%のみです。

この調査は既存のお客様のみが対象のため、比較・検討段階のお客様を含めると、より多くのお客様がサイレントカスタマーとして離れてしまっている可能性があるといえます。

サイレントカスタマーの実態把握はほぼ不可能

サイレントカスタマーがどの程度いるのか、実態を正確に把握する方法はあるのでしょうか?

答えは”いいえ”です。サイレントカスタマーの数を正確に把握することはほぼ不可能だといえます。

会員制のサービスなら、解約数を把握すればサイレントカスタマーの数もある程度わかると考えるかもしれません。しかし、実際は「登録するか迷った末、何もアクションを起こさずに登録しなかったお客様」もサイレントカスタマーに含まれるので、解約数だけでは不十分です。

とはいえ、正確に把握できないからといって、「実態がわからないからサイレントカスタマーのことは考えない」は姿勢として褒められるものではありません

できるはずのサイレントカスタマー化防止策を打てなくなります。

サイレントカスタマーは確実に存在します。その上、上述のデータも考えると問い合わせているお客様よりもサイレントカスタマーの方がずっと多いです。

サイレントカスタマーを放置することは、自社にとってお客様が離れてしまう改善点を放置していることになります。そして、既存のお客様や自社に興味を持っているお客様をみすみす逃していることになるともいえます。

では、サイレントカスタマー化を防ぐために、どのような対策を講じればいいのか?

次章では、サイレントカスタマーへの対策を紹介します。

サイレントカスタマーにはどう向き合えばいいのか

サイレントカスタマー化を防ぐために必要なことは、「お客様が離れてしまうきっかけを特定し改善する」ことです。お客様の困りごとを1つずつ潰していくしかありません。

お客様がサイレントカスタマー化する原因は、以下の方法で探します。

  1. 問い合わせから原因探す
  2. SNSで原因を探す
  3. 問い合わせ後に様子を伺う

1.問い合わせから原因を探す

まずは、電話やメールなどで寄せられる問い合わせの内容から、お客様が離れてしまうきっかけを探す方法です。

「サイレントカスタマーは問い合わせをしないから、問い合わせ内容を見ても原因は見つからないのでは?」と思うかもしれません。

確かに、サイレントカスタマーは問い合わせをせずに離れてしまうお客様です。しかし、困りごとに直面したお客様全員が問い合わせをしないわけではありません。

そのため、問い合わせが寄せられている困りごとの中から、サイレントカスタマー化の原因を見つけられる可能性があります。

では、どのようにして問い合わせ内容を可視化すればいいのか?

これまでは、オペレーターへのヒアリングが主流でした。問い合わせ対応の履歴を記録してもらえれば、寄せられている問い合わせの内容を簡単に把握できます。

しかし、オペレーター側の立場で考えると、いちいち問い合わせ内容を記録するのは面倒です。特に効率を求めている現場では、オペレーターは多くの電話に対応しようとするため、記録が後回しになります。結果的に記録漏れが発生したり、詳細がわからなかったりし、問い合わせ内容の実態を正確に把握できません。

そこでおすすめの方法が「AIを使った問い合わせの記録」です。

AIを搭載した通話録音システムの中には、音声のテキスト化とテキストデータのカテゴリ分けを自動化できる機能が備わっています。このようなシステムを使うことで、オペレーターの負荷を増やさずに問い合わせ履歴を蓄積でき、サイレントカスタマーの原因を探せます。

2.SNSで原因を探す

SNSも、サイレントカスタマーのきっかけを見つけられる貴重な場です。

問い合わせせずに離れてしまったお客様が、SNSにネガティブな声を投稿しているかもしれません。

SNSの投稿を探す際によく行うのが、AIによるテキスト解析です。

【例:X(旧Twitter)の投稿からサイレントカスタマーの原因を探す方法】

  1. 指定のキーワードが使われた投稿を、API連携(異なるソフトウェア間でデータをやり取りする仕組み)で自動抽出する
  2. AIによるテキスト解析にかけ、ネガティブな投稿をピックアップする
  3. AIを使ってカテゴリ分けする
  4. 人がチェックして原因を探る

以前は、SNSを使ってお客様の声を集めるのは困難でした。例えば、皮肉表現をポジティブな投稿だと判断したり、絵文字や画像を検出できなかったりなどの弱みがあったためです。

その点、生成AI技術の進歩で、これまで正しく認識できなかった表現も高精度で見分けられるようになりました。

AIを上手に使えば手間をかけずにSNSの投稿を抽出でき、お客様の声を集められます。

一から自社でVoCを集める仕組みを作ることもできますが、API連携やAIへの指示など、専門的な知識が必要です。

「API連携は難しそう」「AIへ上手に指示を出せる自信がない」という場合は、VoCの収集・分析ができるツールを活用しましょう。SNSに限らず、掲示板や口コミが投稿できるサイトからお客様の声を簡単に集められます。

3.問い合わせ後に様子を伺う

「一度問い合わせたが解決されず、その後アクションを起こさずに離れてしまうケース」への対策が、問い合わせ後のアフターフォローです。問い合わせてきたお客様に対して、企業側から連絡して様子を伺います。

もし追加のサポートが必要だった場合、こちらから連絡しなければ困りごとを解決せずに離れてしまうかもしれません。アフターフォローで改めてサポートすることで、困りごとを解消して自社の製品を使い続けてもらえます。

対策のポイント:情報の分類・整理が大切

問い合わせ履歴やSNSを分析することで、「サイレントカスタマーの原因」が見えてきます。

多くの場合、いくつもの原因が見つかるはずです。

理想は原因を一気に解消することですが、すべての原因を同時に解消するのは現実的ではありません。優先順位をつけて、1つずつ対処する必要があります。

そこで取り組みたいのが「情報を分類して整理すること」です。

まず、「これは完全にお客様の都合だよね?」というお客様の声の優先順位を下げます

【お客様都合の声の例】

  • 薄いピンクがないから買うのをやめた
  • 予算より高いから買えなかった

ただし、多くのお客様が同じ要望を出している場合、たとえ一見わがままに見えても、対応することで売上向上につながる可能性があります。このような意見は切り捨てず、要望が増加傾向にあれば積極的に対応しましょう。

次に、「お客様にとってクリティカルな問題」の優先順位を上げます

【クリティカルな問題の例】

  • 会員サービスにおいて「会員登録の入力画面がわかりにくい」
  • 通信業者において「通信速度が遅い、つながりにくい」

上記の意見は、お客様が自社の製品を使ってくれるかどうかに大きく影響します。

別の視点で考えると「改善・対応することで多くのお客様に使ってもらえるのか?使い続けてもらえるのか?」を念頭に情報を整理し、優先順位をつけることが大切です。

企業姿勢:受けたクレームと改善の取り組みを公表する

サイレントカスタマー対策を実施した際は、その取り組みを公表することがおすすめです。

【例】
「〇〇という声が多かったので、△△を変更しました」

公表する理由は、お客様に「声を届ければ要望が叶うかもしれない」と思ってもらえるためです。多くの声が集まりやすくなり、サイレントカスタマーを減らすための施策につなげられます。

公表の方法はいろいろありますが、

  • 自社のWebサイトに公開する
  • 自社の公式SNSで公開する
  • プレスリリースを発行する

が一般的です。

おわりに

サイレントカスタマーは、対策することで減らせます。まずは過去の問い合わせ履歴をチェックし、お客様がつまずきそうなポイントを探してみましょう。

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#顧客満足度
#カスタマーサポート
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カスタマーサポート理想編

45

vol.22 サポート品質を把握できてますか?

#顧客満足度
#カスタマーサポート

サポート品質の向上を目指す際、まずすべきは現状の評価です。サポートを受けたお客様の声を聞かなければ、何を改善すればいいのかが見えてきません。サポート品質を確かめる方法として効果的なのが、お客様へのアンケートです。アンケートフォームを作成し、問い合わせ経験があるお客様にメールで回答を依頼します。メールアドレスがわからない場合は、調査会社に依頼するのも手です。

自社のサポート品質を正しく把握できていますか?

サポート品質は、お客様が自社を選んでくれるかを左右する重要なポイントです。

多くの人にとって「サポート品質は高くて当たり前」なので、少しでも悪いとお客様が離れてしまう可能性があります。加えて、SNSで悪い評判が広がるきっかけになりかねません。

では、サポート品質を上げるために何を行えばいいか?

まずするべきは、現時点でのサポート品質を把握することです。

この記事では、サポート品質を把握する目的や具体的な方法、そして集めた意見の活用法をご紹介します。

サポート品質を把握する目的

サポート品質を把握する主な目的は2つあります。

  1. サポート品質向上
  2. オペレーターのモチベーションアップ

1つ目は「サポート品質向上」です。

現状を把握しないままサポート業務を続けていると、品質が低いまま放置してしまい、顧客離れが進んでしまうかもしれません。

特にtoCビジネスの場合は、お客様に選んでもらうためにもサポート品質は大切です。お客様にとってサポート品質はよくて当たり前なので、少しでも悪い評判が出てくると、利用を避けられてしまう可能性があります。

2つ目は「オペレーターのモチベーションアップ」です。

問い合わせ対応は、人気がある業務だとは言えません。クレーム対応などで嫌な思いをするケースが多いためです。加えて、良いサポートを評価してもらえる機会が少ない(まったくない)現場が多くあります。

このままでは、せっかく採用した人材が定着せず、結果として常に人手不足に悩まされる可能性があります(すでに人手不足に直面している現場も少なくないでしょう)。そのため、サポート品質を把握し、それを基に適切な評価を行うことで、現在働いているスタッフが長く気持ちよくオペレーターとして働き続けられる環境を整えることが重要です。

では、どのようにサポート品質を把握すればいいのか?

その方法を次章で紹介します。

サポート品質を確かめる方法

サポート品質を確かめる方法としてよくあるのが「メールでのアンケート送付」です。

問い合わせしてきたお客様に対して、「困りごとが解決できたのか」や「対応が良かったのか」をヒアリングします。

具体的な手順は下記です。

  1. アンケートフォームを作成する
  2. 電話で問い合わせた経験があるお客様をリスト化する
  3. アンケート協力のメールを送る

※アンケート項目の作り方は次章で紹介。

メールアドレスがわからない場合は、アンケートを代行してくれる調査会社を利用する方法があります。

調査会社はパーソナル情報(どんなサービスを使っているかなど)を把握したモニターを抱えており、指定した対象ユーザーのみにアンケートを送付する仕組みです。

アンケート作成をサポートしてくれる調査会社を利用すれば、目的に合わせたヒアリング項目を過不足なく作成できます。

ちなみに、お客様に電話をかけてヒアリングする方法もありますが、費用と時間をかけた割に回答が集まりにくいためおすすめできません

お客様一人ひとりに電話をかけなければならないため、通信料や人件費が多くかかります。加えて、相手の都合がいい時間にかけないと答えてもらえません。

結果的に、お客様の声を集められず品質調査が頓挫し、時間と費用が無駄になる恐れがあります。

そのため、サポート品質の調査はメールか調査会社の利用がおすすめです。

主なアンケート項目

アンケートの内容は、何を知りたいのかで変わります。

サポート品質を把握する場合の基本的な内容は下記のとおりです。

  • サポートに満足しましたか?
    • 問題解決しましたか?
    • 説明はわかりやすかったですか?
    • 話すスピードは適切でしたか?
    • 対応は親切で丁寧でしたか?
  • どういうきっかけで問い合わせましたか?
    • 問い合わせたのはなぜですか?
    • 何をみて電話をしましたか?(公式サイト、取扱説明書、メールなど)
  • 電話の前にFAQやチャットボットを使いましたか?

アンケートは自由回答ではなく、選択式が理想です。

自由回答では回答者が文章を考えなければならないため、アンケートを開いてくれた人が面倒に思い、回答してくれない恐れがあります。

「対応は良かったか」などの項目は、4段階(満足・やや満足・やや不満・不満)で評価を選んでもらいましょう。

4段階の理由は、良いか悪いかをはっきりと評価してもらえるためです。

例えば5段階や3段階だと、真ん中の評価が多くなる傾向にあります。特に日本人は、真ん中を選びがちです。

最近は6段階もよく見ますが、6段階だと悪い評価が2に集まり、良い評価が5に集まりやすくなります。

加えて、評価の理由も選択式でアンケート項目に含めるのがおすすめです。

【例】

  • 対応は良かったですか?→4段階
  • その理由に当てはまる項目を選んでください→複数選択可でチェックしてもらう
    • 説明がわかりやすかった/わかりにくかった
    • 言葉遣いが適切だった/適切ではなかった

「どういうきっかけで問い合わせましたか?」や「何をみて電話をしましたか?」などの質問は、回答項目を用意し選んでもらいます。

注意点:悪い意見ばかりが集まったときの対策

アンケート調査を実施すると、悪い意見ばかりが集まってしまうケースもあります。その結果をそのまま社内で公開すると、「オペレーターのモチベーションダウン」や「上層部の信頼低下」を招きかねません。

とはいえ、アンケート調査をなかったことにするのは無理があります。

ではどうすればよいか?

アンケート調査の後は、「なぜこのような結果になったのか、そして今後どのような対策を講じるのかを考え、アンケート結果とセットにして伝える」ことが大切です。

オペレーターも上層部も、伝え方次第で悪い意見がプラスに働きます。

具体的には、以下のようにアンケート結果と改善策をまとめます。

  1. 実際の通話内容(録音データ)を分析する
  2. アンケート結果と照合する
  3. 良い点と改善点を整理する
  4. 具体的な改善方法を策定する

まず、過去の問い合わせの内容を確かめましょう。もし通話の録音データがない場合は、今からでもいいので録音して通話内容を確認します。

実際の問い合わせ内容を聞いてみると、アンケート通りのこともあれば、アンケートではわからなかった良い点・悪い点もあるはずです。

そこで、問い合わせ対応の良い点と改善点、改善の方法をまとめ、アンケート結果と合わせてオペレーターや上層部に伝えます

  • オペレーター→アンケート結果・良い点・改善点・改善方法
  • 上層部→アンケート結果・品質向上のための対策

オペレーターに共有する際は、全体として取り組みたいことだけではなく、一人一人に合わせた評価や改善方法を伝えられると、モチベーションのアップにつながりやすくなります。

上層部へ伝える際は、アンケートの結果に加え、どういう対策を講じていくかをセットでレポートすることが必要です。

「アンケートによって、このような課題が見つかりました。そこで、このような対策を考えています」というレポートができれば、アンケート結果が悪くてもポジティブな内容として伝えられます。

場合によっては、これまで予算がなく手をつけられなかった課題をアンケートでお客様に指摘され、予算を得られるかもしれません。

集めた意見を活かす方法

お客様の声を集めたあとは、どのように活かすかが大切です。

ここでは、一例として「アンケートの結果とコールの履歴を照らし合わせた傾向の探索」を紹介します。

まずは、問い合わせリストとアンケートデータを見て、問い合わせ内容で照らし合わせます。

照らし合わせたデータを見ると、その中に隠されている情報があるはずです。

例えば、問い合わせの通話時間。「通話時間が10分を超えると、アンケートの結果が低い」という傾向が見えてくることがあります。

原因は事実確認で手間取っていたり、説明がわかりにくく何度も聞き返されていたりなどさまざまです。

このように仮説を立てて改善点を見つけることで、アンケートをもとに問い合わせ対応の品質向上に役立てられます

  • 事実確認で手間取って時間がかかっている

→データの確認がしやすい環境を整える(例:ディアルディスプレイへの変更、情報の管理方法の変更)

  • 説明がわかりにくく何度も聞き返されている

→トークスクリプトやマニュアルを作成する、見直す

他にも、「問い合わせしなくても解決できるような仕組みを作れないのか?」という問いを持ちながら、アンケート結果を分析することもおすすめです。

そうすることで「FAQ記事の作成や見直しが必要なのでは?」「解説動画があった方がわかりやすいのでは?」といった仮説が立てられ、お客様が問い合わせなくても疑問を解決できる環境を整えられます。

姿勢

アンケート調査後の品質向上のポイントとして「高評価を増やすよりも、低評価を減らすことにフォーカスすること」があります。

例えば4段階評価の場合、3を4にしようとするのではなく、1や2を3にするための対策に注力するイメージです。

カスタマーサポートの問い合わせ対応は、よくて当たり前だと世間には思われています。そのため、「やや満足」を「満足」に上げても、お客様の満足度はそれほど変わらないことがほとんどです。

一方で、少しのミスでクレームにつながり、製品の利用をやめたり、悪評が広がったりするケースがあります。

そのため、120点のサポートを目指すよりも、まずは常に80点のサポートができるよう、低評価の意見を参考にして改善策を講じましょう

オペレーターのモチベーション向上につなげる


お客様の声はオペレーターのモチベーションアップのためにも活用することをおすすめします。

ここで大切なことは、どの意見をどのように伝えるのかです。

  • 感謝の言葉:全体で伝えた上で、個別でも伝える
  • 個人への声:対面で個別に伝える
  • 組織全体への声:全体の場で伝える
  • 理不尽な意見:現場へは伝えない

特にお客様から感謝の言葉やお褒めの言葉は必ず伝えましょう。「人に感謝される」という経験は、これ以上ないモチベーションアップの材料になるはずです。

もう1つ、直した方がいいポイントが見つかった場合も伝えるべきです。

特定のオペレーターへの声は、具体的な改善策と一緒に対面で個別に伝えます。その際、改善点だけではなく、そのオペレーターの良いところもセットで伝えることで、モチベーションの低下を防ぎます。

組織全体として直した方がいい点は、全体の場で「お客様から〇〇という意見があったので、心当たりがある方は意識してください」のように共有しましょう。

お客様の声の中には、伝えなくてもいい意見もあります。代表例が「理不尽な意見」です。

例えば「他社だと〇〇なのに〜」という他社との比較は、オペレーターに伝えても改善できるものではありません。他にも、時間がかかる手続きに関する問い合わせにもかかわらず「待たされた」という声が届いた場合も、オペレーターへ共有してもどうしようもありませんよね。

オペレーターのモチベーションや対応品質の向上につながるかを考え、伝える内容と伝えない内容を仕分けることが大切です。

おわりに

サポート品質を把握することは、自社のサポート品質向上やオペレーターのモチベーションアップにつながります。サポートがきっかけでお客様が離れてしまわぬよう、そしてオペレーターを正しく評価できるように、お客様へのヒアリングを実施しましょう。

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